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歯周病治療

歯周病の予防と治療

日本歯周病学会指導医・専門医による歯周病の予防

※本原稿は、NHKテレビテキスト「きょうの健康6月号」を著者小川准教授の許可の下、改定しております。

歯周病専門医(非常勤) 小川 智久

日本歯科大学附属病院 総合診療科 准教授
日本歯科大学附属病院 総合診療科 科長
日本歯周病学会 指導医 専門医
日本歯科人間ドック学会 指導医

「歯周病」の予防のためには、正しい歯磨きを行い、「歯周病菌」の繁殖を抑えることが大切です。

歯周病は、歯肉(歯茎)に炎症が起こる病気で、進行すると歯を支えている歯槽骨(しそうこつ)も破壊されてしまいます。日本人の場合、成人の8割以上に歯周病があるといわれています。
また、歯を失う原因はいろいろありますが、その中で第一位を占めているのは、虫歯ではなく、歯周病(※1)です。
※財団法人8020推進財団「永久歯の抜歯原因調査報告書」平成17年

歯周病は、歯や歯肉にプラーク(歯垢:しこう)が付着することが原因で起こります。プラークは細菌の塊で、中でいろいろな種類が繁殖しています。歯周病の原因となる何種類かの細菌もこの中にいて、それらは歯周病菌と呼ばれています。

歯磨きが十分に行われず、プラークが残っていると、そこで歯周病菌も増えてしまいます。歯周病菌は酸素のない環境を好む細菌なので、歯と歯肉の隙間(ポケット)が深くなるとよく繁殖します。

プラークをほうっておくと、歯を支える歯槽骨が破壊される

健康な歯肉は薄いピンク色で、コラーゲンの働きでよく引き締まっています。しかし、プラークが付着し、歯周病菌が繁殖した状態が続くと、歯肉に炎症が起きて腫れてきます。この状態が歯肉炎(歯周病の初期の段階)です。

歯肉炎は、歯磨きできちんとプラークを除去しておくと、それだけで治ります。しかし、歯磨きが不十分だと、歯と歯肉の隙間で歯周病菌が繁殖を続けます。そのため、隙間はどんどん深くなり、歯磨きではプラークを取り除けなくなります。

この状態が歯周炎(歯周病の進行した段階)です。歯周病菌はコラーゲンを分解する酵素を出すため、歯肉は腫れてぶよぶよした状態になります。また、歯周病菌によって産出される毒素や炎症物質などにより、骨を溶かす働きが高まり、歯槽骨が徐々に破壊されていきます。そのため、歯を支えきれなくなり、最終的に歯が抜けてしまうこともあるのです。

このような症状のある方は専門的な診療が必要です。(歯周病が疑われる方)

口の中の粘つきや、歯を磨いたときの出血などが目安となり、
次の項目に一つでも当てはまる人は、歯周病になっている疑いがあります。

◎起床時に口の中が粘つく

プラークがある証拠です。そこで細菌が繁殖していて、細菌が出す物質が口の中にたまると、ネバネバした感じになります。

◎抜けたままにしている歯がある

抜けた歯がある人や、歯並びの悪い人は、歯が磨きにくい部位があるため、プラークが残りやすい傾向があります。歯が抜けた原因が歯周病の場合は、ほかの歯も歯周病になっているリスクが高いので注意が必要です。

◎歯ブラシに血がつく

歯肉に炎症が起きている証拠なので、少しでも血が付いたら歯周病だと考えられます。

◎歯が長くなったように見える

歯周病が進行して歯槽骨が破壊されると、歯肉が下がります。歯が長くなったように見えるのはそのためです。また、今は健康でも、過去に歯周病になっていた可能性もあります。
自己チェックをして、当てはまる項目がある人は対策が必要です。

歯周病の治療

正しい歯磨きが最も大切。初期であればしっかり治せる。

また、専属の衛生士をもち、十分管理された状態で症状の安定化も図れます。

歯周病の主な治療は、「歯磨き(ブラッシング)の指導」「歯石の除去」「歯肉の手術」の3つです。

歯磨きはとても重要です。正しい磨き方を身につけ、きちんとプラークを除去できるようになると、それだけで歯肉の炎症は治ります。

「歯石」は、プラークが歯に付着し続けることで、石のように固まってしまったものです。歯石は歯磨きでは取れません。また、歯石ができると、そこにプラークがたまりやすくなり、歯磨きをしてもなかなかとれません。
歯石を除去すると歯周病はよくなりますが、歯磨きを十分にしないと、再びプラークがたまってしまいます。歯石を除去しても、大切なのは歯磨きなのです。
比較的浅い歯肉内に付着している歯石は十分なトレーニングを受けた衛生士であれば、無痛で的確に除去、改善させることができるでしょう。

正しい歯磨きと歯石の除去で、多くの歯周病は治ります。それでも治らない場合には、手術が行われることがあります。歯周病は、早めに気付いて受診することが大切です。早い段階であれば、歯磨きや歯石の除去でしっかり治せます。

正しい歯の磨き方とは

歯周病を予防するためにも、治療するためにも、正しい歯磨き方を身につけることが大切です。また、歯の状態や歯並びは、一人一人異なっているので、自分にあった磨き方をする必要があります。そこで、歯周病が疑われる場合には、歯科を受診して、自分の歯の状態や歯並びに合わせた歯磨きを指導してもらいます。歯磨きのタイミングは、食べたらすぐ磨くのが理想的です。

歯周病の予防のために正しい歯磨きのしかたを覚え、歯科で自分に合った治療を受けましょう。

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