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臨床データによる予防歯科

ここでは、様々な臨床的なデータや調査から判明された事から、歯の寿命を延ばす(患者利益)ためには、予防歯科診療または歯科医院はどうあるべきかを説明します。

疫学的臨床データ調査の結果から

厚労省による歯科疾患実態調査を1970年から1999年までのデータをみると、ほとんど変化がありません。DMF歯数というのは、簡単に言うと虫歯と治療した歯と失った歯の総数のことです。若い世代で虫歯で削って詰めた歯が年齢を重ねるごとにその歯を失いながらやがては総入れ歯へと移行していくという図式(歯の生涯設計)が、この25年間かわっていないのです。治療した歯が予想以上に早期に壊れ、再治療を繰り返し、抜歯という経過をたどり、50台半ばで2人に1人が義歯使用、75歳以上で実に60%以上の方々が総入れ歯という、現実があります。


この25年間の期間といえば、治療から予防へと、世界の歯科医療は大きな進歩を遂げ、歯科先進国では、官民一体となって、虫歯、歯周病予防が整備され患者さんの口腔の健康へ寄与できる医療効果の高い歯科医院が充実されてきた時です。それに伴い歯科医学教育も見直され、正しい歯の健康を守ための情報も、患者さんや虫歯・歯周病予備軍の方々にも提供されてきました。

このデータは発展途上国の歯科医不在の地域の話ではなく、この狭い地域に30弱の歯科大学があり歯科医師が10万人弱もいて、全国のコンビニエンスストアより多い数の歯科医院が存在する日本の歯科医療の現状です。皆さんの歯や口腔の健康を守るという(患者利益)立場からいえば、非常に不幸なことであると思われます。

つまり歯科医師数と診療所の増加は、国民の歯や口腔の健康増進になんら寄与していない、すなわち貢献できていないことが、判明しました。

では、どうすればいいのでしょうか?

早急に日本の現状を変え、国民の歯の健康を守るシステムへの変更が望まれます。

いまのままですと、早い時期にまじめにコツコツ歯科医院を受診しているにもかかわらず80歳で20本以上の歯をもっている方は、皆無であり、実に60%以上の方々が一本も歯がありません。体の他の部分で内臓や目、耳、手足で。このような欠損機能障害が続発していたら・・・・・。つまり80歳で手足の無い方が60%以上もいたら・・・・。

それこそ大問題になっているはずです。

素晴らしい車椅子や義足、義手をつくる人が優秀な整形外科医として評価される。そのようなことは医科では考えられないことです。

歯が欠損したり、言語、咀嚼機能(物を噛み砕く)障害は、機能障害として認識されていないという現実があります。

医科で疾患による機能障害が(手足がない、目や耳がないといったことが、極めてまれであるように歯が失われて機能障害が生じることもまれな疾患であるように、歯科の疾病構造を変えていく、いかなければなりません。

食事や会話で不自由することなく、歯そのものの美しさ保ちながら老後を迎えられるような環境を提供できる歯科医療にシフトすべきであるのです。

一人平均残存歯数(永久歯)

平成11年の現状

平成11年「歯科疾患実態調査報告」厚生省調査より



生活習慣病予備軍

歯科領域でも虫歯、歯周病予備軍は存在します。この方々に対する発症前予防歯科医療の確立を当院は目指しています。

最近の話題にメタボリック・シンドローム(代謝症候群、死の四重奏ともよばれる)、内臓脂肪症候群ともよばれる複合生活習慣病があります。医科では、動脈硬化の危険因子である「肥満、高血圧、高血糖、中性脂肪血症、高コレステロール血症」と病気の発症前に予防線を張って危険因子の低下あるいは除去のための予防医療が確立しています。

残念ことに、歯科医学領域では、虫歯や歯周病が発症してからの医療しかなく、予防のための医療は確立さえしていません。

厚生労働省の調査では、高血圧患者は3,900万人、高脂血症患者は2,200万人、糖尿病患者は1,620万人、肥満症患者は468万人で、今後さらに増加するといわれています。

歯科の場合は統計すら存在しないことが問題ですが、聴覚言語障害患者(音声、言語、咀嚼機能障害を含む)の割合は50歳代で半数の方が部分義歯を使用し、60歳代で過半数の方々が総入れ歯の現状を鑑みても、優に1,500万人は超えるのではないでしょうか。
超高齢化社会を迎えた日本にとって、多くの健康な歯を保ち、発音、審美、咀嚼に不自由のない暮らしを確立させることは重要な問題の一つであると我々は思っています。

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